グリーンピース(つる有りえんどう)は春から初夏にかけて収穫できる栄養価の高い野菜です。家庭菜園での栽培も比較的簡単で、多くの料理に使えるため人気があります。
この記事ではグリーンピースの栽培時期や水やり方法、肥料の与え方について詳しく解説します。
記事のポイント
- グリーンピースの栽培の基本
- 栽培時期と収穫時期の目安
- グリーンピースの栽培手順
- 水やりの方法
- 必要な肥料の選び方
- 成功と失敗を分ける重要なポイント
- グリーンピース栽培の連作障害
グリーンピースの栽培の基本
グリーンピースは冷涼な気候を好み、適切な環境で育てることで豊かな収穫を得ることができます。
グリーンピースの特性
グリーンピースはマメ科の一年草で、種から育てることが一般的です。寒さに強い特性があり、春先の涼しい気候で発芽・成長が進みます。
また、根粒菌との共生により窒素固定を行うため、比較的肥料が少なくても育てやすい作物です。
栽培場所の選び方
グリーンピースは日当たりの良い場所を好みます。日光が十分に当たることで豆の実入りが良くなります。
また、水はけの良い土壌が最適です。畑やプランターでも育てることができます。
土壌の準備
グリーンピースは中性から弱アルカリ性の土壌を好みます。pH6.0〜7.0が適しています。
土壌が酸性に傾いている場合は苦土石灰を施して調整します。
深さ20cmほどに耕し、有機肥料を混ぜ込んで栄養を補給します。(詳しくは後述します)
↓pHの測定ができる機器
栽培時期と収穫時期
グリーンピースの栽培の成功の鍵は、適切な時期に種をまき、収穫することです。
栽培時期
グリーンピースの栽培時期は、一般的には10月中旬から11月下旬にかけての秋に種をまきます。この時期に種をまくことで発芽後に寒さに強い苗を育てることができます。(寒冷地は春まき栽培となります)
収穫時期
秋に種をまいたグリーンピースは冬を越し、春に花を咲かせて実を結びます。
収穫は種まきから約半年後の4月から7月頃が目安です。鞘がふくらみ、内部の豆が充分に成長していることが目安となります。
最適な時期に収穫することで甘みがあり柔らかく、美味しいグリーンピースを楽しむことができます。収穫が遅れると豆が硬くなり、風味が損なわれることがあるため適期に収穫することが重要です。
各地の栽培時期の目安
地域 | 種まき時期 | 収穫時期 |
寒冷地域(北海道、東北地方の一部) | 3月中旬〜4月下旬 | 7月上旬〜8月中旬 |
東北地方 | 3月上旬〜4月下旬 / 10月上旬〜11月中旬 | 6月中旬〜7月上旬 / 4月下旬〜7月上旬 |
関東地方 | 10月中旬〜11月下旬 | 4月中旬〜6月下旬 |
中部地方 | 3月上旬〜4月下旬 / 10月中旬〜11月下旬 | 6月中旬〜7月上旬 / 4月中旬〜7月上旬 |
近畿地方 | 10月中旬〜11月下旬 | 4月中旬〜6月下旬 |
中国・四国地方 | 3月上旬〜4月下旬(一部地域のみ)/ 10月上旬〜11月下旬 | 6月中旬〜7月上旬(一部地域のみ)/ 4月中旬〜7月上旬 |
九州地方 | 10月中旬〜11月下旬 | 4月中旬〜6月下旬 |
沖縄 | 10月下旬〜12月上旬 | 4月上旬〜5月下旬 |
上表はあくまで目安となります。同じ地方内でも気候が違うエリアがございますので購入される種のパッケージに表示されている各地域の蒔きどきと収穫時期をご確認ください。温暖な気候のエリアでは沖縄以外でも10月下旬〜12月上旬が蒔きどきとなる場合がございます。
また、最適な栽培時期は年々の気候変動の影響を受ける可能性がありますのであらかじめご了承ください。
グリーンピースの栽培手順
グリーンピースの栽培は適切な手順を踏むことで初心者でも成功しやすい野菜です。
以下に基本的な栽培手順を紹介します。
①土の準備
グリーンピースは、排水性が良く、肥沃な土壌を好みます。種まきの2〜3週間前に苦土石灰をまいて耕し、土壌を中和させ、1週間前に元肥として堆肥(私は牛ふんを使用)や化成肥料を施します。
②種まき
グリーンピースの種は10cm間隔で1粒ずつ植え、深さは2~3cm程度が適当です。
ですが、私は上の写真からも分かるように初期発芽の失敗を避けるため、およそ5cm間隔で種をまき、発芽したときに間引いています。
また、グリーンピースは寒さに強い植物ですが、種まき後に強い霜が降りる地域では霜対策としてマルチングを施すと良いでしょう。
③発芽から間引き

種まきから1~2週間で発芽します。発芽した苗が密集している場合は元気な苗を残しておよそ10cm間隔になるように間引きを行います。
苗同士の間隔を確保することで風通しが良くなり、病害虫の発生を防ぐことができます。
④支柱立てとツルの誘引

グリーンピースはつる性植物なので、発芽後しばらくするとツルが伸び始めます。
成長に伴って支柱とネットを立て、ツルを適切に誘引しておくことで株がしっかりと育ち、鞘も多く付きます。
⑤追肥
成長が進んだ頃に追肥を行います。(具体的なタイミングは後述)
追肥は窒素肥料を控えめにし、リン酸やカリウムを含む肥料を中心に与えます。
⑥収穫
グリーンピースの収穫は、鞘がしっかりと膨らみ、豆が詰まってきたタイミングで適宜行います。
収穫が遅れると鞘が固くなり豆の風味が損なわれるため、適期に収穫することが重要です。
適切な水やり方法
グリーンピースの成長には適度な水やりが重要です。特に発芽から開花までの期間は水分が必要です。
水やりの基本
種まき直後はたっぷり水やりをします。その後は発芽するまで水やりは控えます。
発芽後は土壌の表面が乾いたら水をやる程度で十分です。成長期(開花から結実期)には水分を適度に保つことが求められます(以下参照)が、水はけが悪いと根腐れを起こしやすいので注意が必要です。
開花から結実期の管理

開花から結実期にかけては土の乾燥が続くと花が落ちやすくなるため水やりの頻度を増やします。サヤが膨らみ始めたらさらに水の量を増やし、たっぷりと水分を与えます。
実が成熟し始めると、株は生殖生長にエネルギーを集中させます。このときに過剰な水分を与えると株にとって負担になることがあるため、収穫が始まったら(まだ収穫量が少ない初期の段階から)水やりの頻度を落とします。基本的には土の表面が乾いてから水を与えるようにします。
肥料の選び方と与え方
グリーンピースは肥料の多用を必要としない作物ですが、適切な栄養補給は必要です。
基本的な肥料の種類
グリーンピースは窒素固定能力があるため、他の作物に比べて窒素肥料を多く必要としません。ただし、開花期や結実期にはリン酸やカリウムを含んだ肥料を補うことで良い収穫を得ることができます。
肥料のタイミング
種まき前に堆肥や腐葉土を混ぜ込んで基肥を施し、開花前に追肥を行います。
さらに最初の収穫が始まった頃にも追肥を行うことでその後の実の肥大を促し、収穫期間を長く保つ効果があります。その後は株の生育状況を見ながら月に1回程度を目安に追肥を行うと良いでしょう。
なお、追肥はリン酸とカリウムを中心に、窒素分は控えめに与えるのがポイントです。
肥料の量と方法
肥料の量は土壌の栄養状態により調整しますが、以下の表を参考にしてください。
表:グリーンピースの肥料スケジュール
成長段階 | 肥料の種類 | 施肥量(目安) | 施肥方法 | タイミングの補足 |
---|---|---|---|---|
種まき前(土作り時) | 有機質肥料(完熟堆肥、油かす、完熟牛ふんなど) | 1㎡あたり2〜3kg | 種まき予定地全体に均一に混ぜ込む | 元肥は緩効性で、初期生育を助けます。化成肥料を使用する場合は、指定量を守り、直接種や根に触れないように注意してください。 |
開花前 | 化成肥料(N-P-K比で窒素が低く、リン酸・カリウムが高いもの:例 3-10-10など) | 化成肥料:1㎡あたり50g程度 | 株元から離して株の周りに施す | 花芽形成を促し、実つきを良くするための追肥です。窒素分の与えすぎに注意します。 |
最初の収穫が始まった頃 | 化成肥料(N-P-K比で窒素が低く、カリウムが高いもの:例 5-8-10など)、またはカリウムを含む有機質肥料(草木灰など) | 化成肥料:1㎡あたり50g程度 有機質肥料:少量 | 株元から離して株の周りに施す | 実の肥大を助け、収穫期間を長く保つための追肥です。 |
その後(月1回程度) | **化成肥料(N-P-K比で窒素が低めのバランス型:例 5-8-8など) | 化成肥料:1㎡あたり30〜50g程度 | 株元から離して株の周りに施すか、液肥の場合は水やり代わりに与える | 株の生育状況を見ながら、葉の色が薄い、生育が鈍いなどの場合に追肥します。窒素過多にならないように注意してください。 |
※ 上記はあくまで目安です。使用する肥料の種類や土壌の状態、栽培品種によって施肥量や頻度は調整してください。
※ 肥料焼けを防ぐため、追肥は必ず株元から離して施肥してください。
※ 生育状況を観察し、肥料の与えすぎに注意してください。
成功と失敗を分ける重要なポイント

成功のポイントは支柱の設置
グリーンピース(つる有りえんどう)栽培を成功させるには、成長に合わせた支柱とネットの設置が必要です。支柱とネットを立ててツルが巻きつけるようにすることで風通しが良くなり、病害虫の発生を防ぐ効果があります。
支柱は苗が10〜15cm程度に成長した段階で設置し、紐やネットで支えると良いかと思います。
失敗の原因と対策
グリーンピースの栽培での失敗は、過剰な水やりや肥料不足が主な原因です。また、適切な支柱がない場合や管理が行き届いていない場合、ツルが倒れて風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすくなります。
グリーンピース栽培の連作障害
連作障害とは?
グリーンピースは連作障害を起こしやすい作物です。特定の病害虫が土壌中に蓄積するため、同じ場所での栽培を繰り返すと生育が悪くなることがあります。
連作障害の症状と対策
連作障害の症状には、発芽率の低下や生育不良、根腐れなどがあります。これを防ぐためには、少なくとも3年は他の作物を輪作することが推奨されます。
また、土壌消毒や堆肥の施用により土壌の状態を改善することが重要です。
まとめ
グリーンピースの栽培は、適切な管理とケアが成功の鍵です。今回の記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ家庭菜園でおいしいグリーンピースを育ててみてください。
成功の秘訣まとめ
- 適切な栽培時期を選ぶ
- 日当たりと水はけの良い場所を確保する
- 適切な水やりと肥料管理を行う
- 支柱を設置して風通しを良くする
これらのポイントを守ることで、健康で美味しいグリーンピースを収穫することができます。家庭菜園初心者でも簡単に育てられるので、ぜひ挑戦してみてください。
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