さつまいもは家庭菜園初心者からベテランまで楽しむことができる栽培しやすい野菜です。
しかし、成功するためには適切な栽培方法や時期、肥料、水やりなどを理解しておく必要があります。
そこで本記事では、さつまいもの栽培のポイントをご紹介します。
記事のポイント
- さつまいも栽培の基本
- 適切な水やり方法
- 肥料の選び方と与え方
- 栽培時期と収穫時期
- つるがえしの必要性
さつまいも栽培の基本
さつまいもは栽培が比較的簡単な作物ですが、基本的な知識を押さえることでさらに成功率を高めることができます。
さつまいもの特性
さつまいもは熱帯・亜熱帯地方原産の作物で、温暖な気候を好みます。育成には長い成長期間が必要で、特に温度管理が重要です。
栽培場所の選び方
さつまいもは日当たりの良い場所を好みます。栽培場所は風通しが良く、しっかりと太陽の光が当たる場所を選びましょう。また、排水の良い土壌も重要です。
栽培時期と収穫時期
さつまいも栽培を成功させるためには、適切な栽培時期と収穫時期を把握することが重要です。
栽培時期
さつまいもの栽培は地域によって異なりますが、一般的には春から初夏にかけて行います。温暖な気候が続く期間を選ぶことがポイントです。
栽培開始時期の目安
地域 | 植え付け時期(目安) |
---|---|
北海道 | 5月下旬~6月上旬 |
東北 | 5月中旬~6月上旬 |
関東 | 5月上旬~6月中旬 |
中部 | 5月上旬~6月中旬 |
近畿 | 4月下旬~6月中旬 |
中国 | 4月下旬~6月上旬 |
四国 | 4月中旬~6月上旬 |
九州 | 4月中旬~5月下旬 |
沖縄 | 3月~5月 |
上記はあくまで目安です。実際の植え付け時期は地域の気候や品種、育苗状況によって異なります。
収穫時期
収穫時期は定植から約4〜5ヶ月後が目安です。葉が黄色くなり始めたら収穫のサインです。
成功のポイント
さつまいも栽培の成功のポイントは適切な時期に植え付けを行い、収穫時期を見極めることです。早すぎると未熟な芋になり、遅すぎると味が落ちる可能性があります。
また、定植直後1週間の水やりや、6月と7月の適度な水やり、7月と8月のつる返しも大事なポイントです。
失敗の原因と対策
さつまいも栽培の失敗は、過剰な水やりや肥料不足、または肥料過多、土壌のpH管理不足、つる返しをしないこと、背の高い雑草が生い茂ることが主な原因です。これを避けるために適切な管理を心掛けることが大切です。
さつまいもの苗の植え方|畝作りから定植まで
1. 畝作りの準備
▼ 土づくり(定植の2〜3週間前)
- 苦土石灰を施す:1㎡あたり100〜150g
- 堆肥・元肥を混ぜ込む(定植の1週間前までに):
- 堆肥:1㎡あたり2〜3kgの完熟堆肥
- 元肥:リン酸とカリウムを多めに、窒素は控えめ
※注意:窒素過多になると「つるぼけ」になるので控えめに。
さつまいもは酸性の土壌を好みます。pHが5.5〜6.5の範囲が理想的です。植える前に土壌のpHを確認し、必要に応じて調整しましょう。
2. 畝の作り方
項目 | 内容 |
---|---|
畝の高さ | 約30cm〜40cm(高畝がおすすめ) |
畝の幅 | 60〜70cm |
畝の向き | 日当たりを考慮して南北方向が望ましい |
高畝にする理由は水はけが良く、芋が太りやすくなるためです。
3. 黒マルチの使用(任意)
- 効果:地温上昇、雑草防止、保湿
- 定植前に畝全体にピンと張ってしっかり固定
4. 苗の準備
項目 | 内容 |
---|---|
苗の長さ | 25〜30cm |
節数 | 6〜8節が望ましい |
苗の状態 | 青々として元気なもの |
※苗は定植直前に水を吸わせておくと活着しやすくなります。
5. 植え方の種類と方法
植え方 | 特徴・メリット | 備考 |
---|---|---|
斜め植え | 一般的な植え方。5〜6節が土中に入る | 初心者向け・標準的な畑 |
垂直植え | 収穫量は落ちるが大きい芋に仕上がる | 仕入れた苗の量が多すぎた場合 |
水平植え | 多くの芋がつきやすい | プロ農家向け・収量量重視 |
▶ 斜め植えの手順(おすすめ)
- 苗の先端を5〜10cm程度残して、30〜45度で植える
- 5〜6節が土中に入るように植える
- 指や棒で斜めの穴を開けて優しく差し込み、根元を軽く押さえる
▶ 植え付け間隔
項目 | 数値目安 |
---|---|
株間 | 約30〜40cm |
畝間 | 約70〜80cm |
6. 植え付け後の管理
- 植え付け直後に水やり(活着促進)
- 1週間は毎日水やり(雨の日は除く)
適切な水やり方法
さつまいもは乾燥に強く、過剰な水分を嫌うので水やりの頻度は少なくて済む作物です。
私は毎年以下の水やりスケジュールで栽培しています。
表:さつまいもの水やりスケジュール
時期 | 水やり頻度 | 注意点 |
---|---|---|
定植直後(植え付けから約1週間) | 降雨がなければ毎日1回 | 土が乾かないようにする。活着を促すためしっかり水やりする。 |
6月〜7月 | 降雨がなければ週1回程度 | 過湿を避け、乾燥気味を保つ。梅雨期は基本的に水やり不要。 |
8月〜9月 | 降雨がなければ10〜14日に1回程度 | 過湿になると芋が太らず品質が落ちるためこの時期から水やりは控えめにする。 |
10月〜11月 | 基本的に水やり不要(乾燥が続く場合のみ軽く与える) | 収穫期に向けて水分を控え、糖度を上げる。 |

さつまいも栽培の肥料の選び方と与え方
さつまいもの栽培は適切な肥料選びと与え方が重要です。これにより豊かな収穫を得ることができます。
基本的な肥料の種類
さつまいもには、窒素、リン酸、カリウムがバランス良く含まれた肥料が必要です。
- 窒素:葉や茎の生育を促進しますが、多すぎると「つるぼけ」を招きます。
- リン酸:根の成長と芋の肥大に効果があります。
- カリウム:芋の品質向上、病害への抵抗力を高めます。
特にカリウムの重要性は高く、根の発育を助けるため意識的に補うと良いでしょう。
肥料のタイミング
定植の際に基肥(元肥)として施肥を行い、生育の様子を見ながら追肥を検討します。追肥は必ずしも必要ではなく、土壌が肥沃な場合やつるの伸びが良い場合には控えます。
肥料の量と方法
肥料の量は土壌の状態やさつまいもの品種によって異なりますが、基本的には以下の表を参考にしてください。
表:さつまいもの肥料スケジュール
成長段階 | 肥料の種類 | 量 | 施肥方法 |
---|---|---|---|
定植前 | 基肥 | 1㎡あたり50g | 畝全体にまんべんなく混ぜる(全面施肥) |
成長期 | 追肥 | 1㎡あたり20g | 株元から少し離して軽く施す |
肥料を与えない方が良い場合
さつまいもは肥料が多すぎると、つるが過剰に伸びて芋が育たない「つるぼけ」になることがあります。
特に、元肥を多く施した場合や肥沃な畑で栽培する場合は追肥を行わず様子を見ることが大切です。適度な栄養管理こそが大きく甘いさつまいもを育てるコツです。
つるがえしの必要性
つるがえしとは?
つるがえしとは、さつまいもの栽培中に蔓(つる)を持ち上げて方向を変える作業のことを指します。これにより蔓が地面に根を張らないようにする目的があります。
つるがえしの効果
つるがえしを行うことで、さつまいもの栄養が蔓ではなく根(芋)に集中しやすくなります。蔓が地面に根を張るとその部分にも栄養が分散してしまい、結果的に芋の成長が妨げられることがあります。
つるがえしのタイミング
つるがえしは、蔓が伸び始めた時期に行うのが一般的です。特に成長のピーク時に行うことで効果的に栄養を芋に集中させることができます。
つるがえしの方法
つるがえしの方法は簡単です。蔓を持ち上げて畝の上に乗せるだけで十分です。無理に引っ張ると蔓を傷つける可能性があるため丁寧に行いましょう。
つるがえしをしない場合
つるがえしをしない場合、さつまいもが大きく育たない可能性があります。ただし、土壌の栄養状態が良好であればそれほど影響がない場合もありますので状況に応じて判断することが重要です。
まとめ
さつまいもの栽培は適切な知識と管理を行えば非常に楽しく、収穫の喜びを味わうことができます。今回の記事で紹介したポイントを押さえ、成功への道を歩んでください。
成功の秘訣まとめ
- 適切な栽培時期を選ぶ
- 日当たりの良い場所を確保する
- 適切な水やりと肥料管理、土壌のpH管理を行う
- 成長段階に応じた適切な手入れを行う
栽培スケジュールまとめ
時期 | 作業内容 |
---|---|
植え付け1週間後〜7月 | 降雨がなければ週1回程度水やり、7月につる返しと雑草処理 |
8月 | 中旬までにつる返しおよび雑草処理、8月からは水やりを控えめに |
10〜11月 | 葉が黄色くなったら収穫 |
これらのポイントとスケジュールを守ることであなたも美味しいさつまいもを収穫することができるはずです。ぜひ挑戦してみてください。
家庭菜園歴10年以上の つっつん村長 と申します。本記事では畑で家庭菜園を行う上で最低限揃えておきたい道具についてご紹介します。(土や肥料などは除く)家庭菜園初心者の方はぜひ参考にしてみてください。【家庭菜園で野菜栽培】[…]